筑波大学微分幾何学セミナー
|
5月28日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟B627 | 三石 史人 氏(東北大学 理学研究科) |
距離空間の局所リプシッツ可縮性と整数係数カレントのホモロジー
概要: 距離空間の局所リプシッツ可縮性はとても基本的な性質で、例えば、ノルム空間、CAT空間、グラフ、アレクサンドロフ空間、(さらにこれらに局所的に双リプシッツ同相な空間)など、距離空間の幾何学の多くの対象がこの性質を満たしている事が分かります。Ambrosio と Kirchheim は2000年に距離空間の中のカレントを定義し、その基本的な性質を調べました。特に、距離空間 X の中の整数係数カレントでコンパクト台を持つもの全体は鎖複体をなします。私はもし X が局所リプシッツ可縮ならば、いま述べたカレントの鎖複体のホモロジーと 特異ホモロジーと特異リプシッツホモロジーが自然に同型である事を示しました。証明には cosheaf という sheaf の双対概念を使います。講演ではこれらについて報告致します。 |
|
7月9日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟B627 | 櫻井 陽平 氏(筑波大学) |
リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体の剛性 概要: リッチ曲率が下に有界な完備リーマン多様体に対して、いくつかの比較定理ならびに 剛性定理が知られている。 本講演では、リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体に対して、境界の平均 曲率の仮定のもと得られた比較定理と剛性定理について述べる。 主な結果として、境界からの距離の上限に関する比較定理と、それに関する剛性定理 について報告する。 |
|
7月30日 (火) 15:15~16:15 自然系学系棟 B棟627 | 守屋 克洋 氏(筑波大学・数学域) |
Wintgen理想的曲面の高次元化とシュワルツの補題 概要: Wintgenは四次元ユークリッド空間内の曲面のガウス曲率、法曲率、平均曲率の間に成り立つ不等式を提示した。その高次元版として、空間形内の部分多様体についても同様な不等式が成り立つことが知られている。この不等式の等号が成り立つ場合をWintgen理想的部分多様体といい、部分多様体の研究課題となっている。本講演ではWintgen理想的部分多様体と別な方法で高次元化を行い、正則写像のシュワルツの補題の類似を提示する。 |
11月12日 (火) 15:15~16:45 | 長谷川 和志 氏(金沢大学) |
球面内のツイスター正則な曲面に対する共形面積と法束の第一チャーン類について 概要: 本講演では,偶数次元の単位球面内のツイスター正則な曲面に対して,P. Liと S. T. Yau によって導入された共形不変量である共形面積(共形体積)と曲面の法束の 第一チャーン類を含む不等式を紹介する.ツイスター正則な曲面は外空間の共形変換で不変なので,その共形面積という共形不変量やチャーン類などとの関係を調べることは重要である.例えば,この不等式を用いて,E. Calabiによる超極小曲面の面積に関する結果や,T. Friedrichによる4次元定曲率空間内のツイスター正則な曲面の法束の第一チャーン類に関する不等式を改良したものもが系として得られる. |
|
11月18日-11月20日 自然系学系棟 D棟509 | 井関 裕靖 氏(慶応大学) |
[集中講義]離散的調和写像と有限生成群の固定点性質 概要: 与えられた群のある距離空間への等長的な作用がつねに固定点をも つとき、その群はその距離空間に対する固定点性質をもつ、といわれ る。群の固定点性質は、往々にして群の興味深い代数的性質と関係し ている。この講義では、離散的調和写像を用いて群の固定点性質を捉 える微分幾何的なアプローチとその応用について解説する。講義は 概ね次のような順序で進める予定である。 • 有限生成群のケーリーグラフ • Hilbert 空間に対する固定点性質 • 同変写像のエネルギーと固定点性質 |
|
11月19日 (火) 15:00~16:30 自然系学系棟 D棟814 | 徐 泳鎮(韓国慶北大学校) |
Isometric Reeb flow and Contact hypersurfaces in Hermitian symmetric space 概要: In this talk, first we introduce the classification of homogeneous hypersurfaces in some Hermitian symmetric spaces of rank 1 or rank 2. In particular, we give a full expression of the geometric structures for hypersurfaces in complex two-plane Grassmannians $G_2({\Bbb C}^{m+2})$ or in complex hyperbolic two-plane Grassmannians $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$. Next by using the isometric Reeb flow we give a complete classification for hypersurfaces $M$ in complex two-plane Grassmannians $G_2({\Bbb C}^{m+2})$, complex hyperbolic two-plane Grassmannians $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$ and a complex quadric ${\Bbb Q}^m$. Moreover, we introduce the notion of contact in Hermitian symmetric space and give a classification of contact hypersurfaces in Hermitian symmetric space like $G_2({\Bbb C}^{m+2})$, $G_2^{*}({\Bbb C}^{m+2})$ and ${\Bbb Q}^m$. |
|
11月19日 (火) 16:40~18:10 自然系学系棟 D棟814 | 井関 裕靖 氏(慶応大) |
ランダム群の L^p 空間に対する固定点性質 概要: 群が Hilbert 空間に対する固定点性質をもつことと、Kazhdan の性質 (T) と呼ばれる性質をもつことは同値であり、この性質が群の種々の剛性と関わりをもつことはよく知られている。さらに、強い剛性をもつ群が、しばしばHilbert 空間のみならず L^p 空間に対する固定点性質をもつことも指摘されている。この講演では、ある意味で一般的な有限表示群が L^p 空間に対する固定点性質をもつことを、ランダム群の言葉を用いて述べた固定点定理を紹介する。この結果は、実は、非常に多くの群が、ある種の剛性をもっている可能 性があることを示唆している。 |
|
1月14日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟627 | 川上 裕 氏(山口大学) |
曲面のガウス写像の函数論的性質について 概要: 3次元ユークリッド空間内の極小曲面のガウス写像には幾つかの函数論的性質が存在する.例えば,完備かつ非平坦な極小曲面のガウス写像の除外値数は高々4になるという「ピカールの小定理」に対応した結果が成り立つ.また,ガウス写像の7つの値の逆像が一致した場合,その写像が完全に1つに決まるという「ネバンリンナの一意化定理」に対応した結果も成り立つ.さらに,このような性質は,3次元双曲型空間内の平均曲率が1の 双曲的ガウス写像や3次元アファイン空間内の非固有アファイン波面のラグランジアンガウス写像についても成り立つ. そこで,本講演では,これらガウス写像の函数論的性質の意義およびその幾何学的背景について解説する. |
|
1月28日 (火) 15:15~16:45 自然系学系棟 B棟627 | 守屋 克洋 氏(筑波大学・数学域) |
Wintgen ideal surfaceの複素解析的性質 概要: Wintgen ideal surfaceに極の概念を導入し有理関数との類似の性質が成り立つことを説明する。この結果はIsrael J. Math. に掲載予定の論文の一部である。 |
|
2月4日 (火) 15:15~16:00 自然系学系棟 B棟627 | 櫻井 陽平 氏(筑波大学) |
リッチ曲率が下に有界な境界付きリーマン多様体の距離構造に関する剛性 概要: 境界付きリーマン多様体に対し、リッチ曲率、ならびに境界の平均曲率のある有界性 を仮定したとき、境界からの距離関数の上限や体積に関する比較定理が得られる。本 講演では、それらの比較定理において、等号が成立する場合の、境界付きリーマン多 様体の距離構造に関する剛性について述べる。特に、最近の新たな成果について、詳 しく解説する予定である。 |
|
2月4日 (火) 16:00~16:45 自然系学系棟 B棟627 | 松島 弘直 氏(筑波大学) |
調和写像の存在定理とその応用 概要: リーマン多様体間の滑らかな写像に対してそのエネルギーが定義され、 これにより滑らかな写像全体からなる空間上の汎関数が得られる。調和 写像はエネルギー汎関数の臨界点として定義され、測地線、調和関数、 極小部分多様体などを例に持つ重要な研究対象であり、与えられた写像 を写像を調和写像へ自由ホモトープに変形できるかどうかは、幾何学的 変分問題の基本的な問題といえる。 本講演では、この問題に対する答えのひとつであるEells-Sampsonの定理 の証明の概要と、定理の応用としてリーマン多様体の構造に関して 知られている結果について述べる。 |